手の平・足裏の多汗症治療

人の汗のほとんどはエクリン汗腺から出ています。汗腺の数は約230万個ともいわれており、エクリン汗腺は人間の体のほぼ全身に存在しています。汗の成分は水分が90%残り1%が塩分、無味無臭でサラサラとしています。汗は人間にとって体内の熱を体外に放出し体温を調節する大切な役割がありますが、緊張や精神的不安、食生活、病気、ホルモン等が影響し必要以上の汗が出ることがあります。
発汗を促進させる原因は交感神経のアセチルコリン(神経伝達物質)と言われており、交感神経から汗腺に向けてアセチルコリンが放出されるとエクリン汗腺が刺激を受けて発汗します。加えて強い緊張や運動また刺激物の摂取で交感神経の働きが活発になるとさらに発汗量が増えます。

手の汗・足裏の汗チェック

軽度:緊張や不安など意識しなければ汗ばむ事はない。
中度:手が湿っている程度。触ると汗ばんでいることが分かり、光の反射で手の平や足の裏が光る。
重度:手や足の裏に汗で水滴が出来る。また濡れている事が見た目で分かる。
最重度:盛んに水滴が出来て、汗が大量に滴り落ちる。

汗の種類

手の平や足の裏など緊張する時に出る汗は、2種類の発汗作用から生じています。

温熱性発汗

私たち人間は恒温動物ですので、体が正常に機能し続けるためには、体の体温を一定に保つ必要があります。病気をした時やスポーツをしている時は体温が上昇してきますので、体温の上昇を抑え、正常な状態に戻すために体が熱を発散します。
この時の汗を「温熱性発汗」と言います。つまり体を冷やすために汗をかくのです。

精神性発汗

人間は緊張や興奮をすることや精神的なプレッシャーなどによって汗をかきます。この時にかく汗を「精神性発汗」と呼びます。
手の平や足の裏に多く汗をかくと日常生活で支障をきたし、大きな精神的ストレスを感じやすくなります。 また、辛いものを食べた時や熱いものを食べた時にも汗をかくことがあります。これは「味覚性発汗」と言われています。

手足の汗を抑える様々な治療方法

人間の体は、夏の暑い日や長時間運動をした時など、体の体温が上がると全身から汗をかきます。この体温調節の機能以外にも、極度の緊張や不安が交感神経に作用する事で発汗を起こすこともあります。
手の平や足の裏も同じく汗をかくのですが、手の平から滴り落ちるほど多量の汗をかく人もいらっしゃいます。そのような人はワキと同じく、多汗症の一つ「手掌多汗症」の可能性が高いといえるでしょう。
手掌多汗症は、交感神経の影響として精神的不安や緊張が誘因となって引き起こされることが多いと言われています。
手汗や足裏汗などの多汗症は、体質や遺伝のように先天性ではなく、精神面などが深く関わっており、不安や緊張が交感神経を過敏にして発汗異常を起こします。
手掌多汗症による手や足の汗を改善する為に緊張や不安が和らぐよう心掛け、必要な場合には精神安定剤などを処方してもらうのも良い方法かもしれません。
他にはボトックス注射を使った薬物療法やイオンフォレーシス法と呼ばれる電流療法もありますが、治療効果や治療の満足度には個人差があります。
確実な治療方法としては、交感神経を切除する手術がありますが、代償性発汗と言われる副作用が出やすいため、手術を行う場合は担当医師とよく話し合って治療を行う必要があります。

塩化アルミニウム療法

この治療は塩化アルミニウムという製剤を使用した治療です。
一般の薬局で売られている制汗剤の主成分としても使われており、アポクリン汗腺を閉塞させる事で発汗を抑制する作用があります。しかし、その効果は一時的ですので、毎日使用するなど定期的に使用しなければなりません。塩化アルミニウムは医薬品ではなく、実験用として使用されていたので、塩化アルミニウムそのものを取り扱いしていない薬局も多いようですが、20%の濃度に薄めた塩化アルミニウム水溶液であれば販売されていることもあります。
日本皮膚科学会が作成した原発性局所多汗症診療ガイドラインでも手掌多汗症の治療に使うことが推薦されており、対処療法としてはおススメな方法です。

イオンフォレーシス療法

イオントフォレーシス療法とは、手の平や足の裏の部位をあらかじめ準備した水道水に浸し、そこの微弱な電流を流す方法です。
水に弱い電気を流して生じた水素イオンが、汗を出す細胞に作用する事で汗を抑えます。
主に手の平、足の裏が治療対象部位ですが、効果には個人差もあり、永久的な効果は有りません。

精神療法及び心理療法

精神療法は医師が行い、心理療法は心理療法士が中心となって行います。
精神的、心理的なストレスが原因で多汗症を引き起こしている人の場合、この心理療法を受けることにより症状を改善することができます。
また、自律神経訓練法というものもあり、交感神経と副交感神経の働きを正常な方向に持っていくことができます。自律神経が正常になることで多汗症を改善する事が期待できます。

抗コリン薬・アセチルコリン療法

汗は神経から出る神経伝達物質(アセチルコリン)と言われるものが、エクリン腺を刺激することで汗が出ます。抗コリン薬はアセチルコリンの放出を妨げる働きがあり、多量に出る汗の量を減らす効果が期待できます。
ある程度の治療効果が期待できる事は分かっていますが、根本から治す治療ではありません。
また、かすみや口渇感、便秘、排尿量の減少、発疹といった副作用が出る事もあります。

ETS交感神経遮断手術

この治療は胸部交感神経を遮断(切断)する手術です。手術を受ける事で気になる手汗は改善しますが、「代償性発汗」と言われる副作用が出る可能性が高い治療法です。
手術を受ける事で、手の汗は止まっても背中やお尻などの別の部位から大量の汗をかく為、逆にこの代償性発汗が気になってしまうケースが多く見受けられます。
その為、左右同時に手術するのではなく、片側だけ手術を受け、代償性発汗の程度をみる事をおすすめします。

当院オススメ治療

手や足の汗でお悩みの方にとっては、日常生活を送る上で経済的・精神的負担も大きく、大きなストレスになってしまいます。福岡博多駅前通中央クリニックでは、手の平や足裏の汗治療を専門的に行っており、多汗症のお悩みを改善する治療として最新のビューホット治療を積極的に行っております。
ワキやデリケートゾーン(陰部)部分に対してビューホット治療を行っているクリニックは福岡県内にも数件ありますが、手の平や足の裏の汗に対してビューホット治療を専門に行っているクリニックはほとんどありません。まずはお気軽にご相談下さい。

ビューホット治療

ビューホット治療は代償性発汗のリスクもほとんどなく、日帰りで行える治療です。ビューホットで使用するチップ(細い針)から出る高周波は汗のもとであるエクリン腺の働きを抑制し余分な汗を抑え、匂いのもとであるアポクリン腺も熱で凝縮し、気になる臭いをシャットダウンさせます。特許技術のクーリングプレートが、治療中の強い熱から大切な皮膚を守り、負担を最小限にします。

皮下浅層のエクリン腺からアポクリン腺まであらゆる層を広範囲に治療できるようになったため、従来より短時間で確実な治療が可能となりました。メスを使用しませんので、傷痕も残りません。

注射による汗止め治療

ビューホット以外におススメの治療が汗止め注射です。汗止め注射はアセチルコリンの分泌をブロックする作用がある為、エクリン汗腺の活動を抑制して汗の分泌を抑えます。
即効性があり、大変効果的な方法ですが、永久的な効果がありませんので、効果を持続させる為には定期的な治療が必要です。当院では国内で唯一厚生労働省の認可を受けているアラガン社のボツリヌストキシン製剤を使用しています。治療時間は両手の平・足の裏で約10分程度で終了します。治療後の腫れもほとんどなく、日常生活に制限は一切ございません。当院のスタッフも治療経験者ですので、安心してご相談ください。

汗止め注射の成分

ボツリヌス毒素(菌)から抽出したたんぱく質の一種です。毒素というとご不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、人体への悪影響はありません。顔面神経麻痺の方やしわ治療など多くの美容医療にも使用されている薬剤となります。

治療効果と治療経過

治療適応部位 わき・手の平・足の裏・デリケートゾーン・チチ(乳輪周囲)など
治療効果 治療後、約7~10日前後より効果が現れます。
持続期間 個人差がありますが約3~6ヶ月前後。薬剤の効果が切れると元の状態になる為、効果の継続を求める場合は定期的な治療が必要となります。
経過・副作用 注射での治療となりますので、傷は一切できません。手の平や指など細かく薬剤を注入する為、しばらくの間、注射針の痕や皮下出血が出る事がありますが、皮下出血は1~2週間で落ち着いてきます。治療直後は多少の痛みを感じる事がありますが、副作用は特にございません。効果を持続させる為には定期的な追加治療が必要となります。

よくある質問

痛みが心配なのですが、大丈夫でしょうか?
手の平や足の裏に注射をしますので、針を刺す痛みはあります。なるべく痛みを軽減させる為に、アイスノンで冷却しながら治療します。細い針を使用していますので、痛みが強すぎて治療が出来なかった方はいらっしゃらないですが、痛みが苦手な方や痛みに対して心配な方は静脈麻酔やマスク麻酔を併用する事も可能です。静脈麻酔やマスク麻酔を使用する際は治療の6時間前よりお食事や水分を控えて起こし頂く必要があります。治療直前にお食事や水分を取っていると当日は治療できない場合がございますので、事前に必ずクリニックまでご確認ください。
治療を受ける事で皮膚に傷ができる事はありませんか?
ボツリヌストキシンによる注射治療は手術と違ってメスを使用しない為、傷ができる事はございません。細い針を使用し、手の平また足裏全体の汗が出る範囲全体に注射しますので、場合によっては数日間は針痕が残るケースはあります。
また、針を刺す事で、多少の内出血が出る事がありますが、数日から1週間前後で落ち着いてきます。針痕が傷となって残る事はほぼありませんが、個人の体質によっては針痕が瘢痕として残ってしまうリスクは全くゼロとは言い切れません。カウンセリングで医師としっかり相談する事をおすすめします。
個人差があるとは思いますが、治療効果はどのくらい持続しますか?
汗止め注射の持続効果は約3ヵ月から6ヵ月前後です。薬剤を注入後、約7日前後で少しずつ効果が出てきて緩やかに効果が減退してきます。ボトックス注射は永久的に効果が持続する事はありませんので、効果を持続させる為には半年おきに定期的に追加治療が必要となります。
治療を受ける事が出来ない人はいますか?
過去に汗止め注射を受けて、アレルギー反応が出た方や妊娠の可能性がある方又妊娠中の方、授乳中の方は治療を受ける事はできません。お薬を常用されている方や既往歴をお持ちの方は事前に必ず医師へお伝えください。診察を行い、治療ご希望部位に炎症や皮膚疾患がある場合は治療をお断りする場合があります。

診療内容

インスタグラムスタッフアカウント
インスタグラム公式アカウント