多汗症治療

多汗症とは

多汗症は、額や脇のように汗をかきやすい場所だけでなく、その他の箇所からも多量の汗が出る症状です。
多汗症の割合は男女とも同等で7~8人に一人とも言われ、決して珍しい症状ではありません。大勢の前で発表をするときや、初対面の人と話すときなどに、いつも緊張して汗をたくさんかいてしまい、自分のことを「あがり症」だと思っている方も少なくないでしょう。ひょっとしたらそれは多汗症かもしれません。
精神的な緊張やストレスなどメンタルに動揺をきたすと自律神経が過敏になり汗をかきます。冷や汗は誰しもが経験したことがあると思いますが、精神的な緊張の度合いが大きすぎると、汗腺への働きかけがうまく出来ず、過度に発汗してしまうのです。汗をかいているところを他人から注視されることで更に緊張してしまい、ますます悪化してしまう人もいます。
全身に汗をかく人や、手や足の裏、額など局部だけ発汗するなどその症状はさまざまで、自分自身で多汗症かどうかを判断するのは難しいと思われます。気候に関係なく、したたり落ちるくらいに大量の汗をかく場合は、専門医にご相談下さい。
サプリメントや薬、クリームなどを塗り一時的に発汗を抑える方法や、注射や手術などで汗腺から出る汗を完全に抑える方法など、治療方法は多岐にわたります。生まれつきの体質だからと諦めずに、まずはお気軽にご相談ください。

多汗症とワキガの違い

多汗症とワキガは同じ病気と思われることが多いですが、実際には全く異なる病気です。
汗の出る汗腺には「アポクリン腺」と「エクリン腺」の2種類あり、多汗症とワキガでは、この汗腺の種類が異なります。ワキガはアポクリン腺から分泌されてくる汗、多汗症はエクリン腺から分泌されてくる汗が原因となって起こると考えられています。
アポクリン腺から分泌される汗は粘度がやや高く、臭いを持っているのが特徴です。エクリン腺は体温調節の役割を担っており、成分の約90%は水分です。分泌されてくる汗はサラサラとした手触りで、臭いはほとんどありません。エクリン腺は、ほぼ全身にあるのに対して、アポクリン腺はワキの下や耳の中(外耳道)、外陰部など体毛が生えている部位に分布しています。さらに、アポクリン腺から出る汗は、皮脂や細菌などと絡み合い不快な特有の臭いを発します。

多汗症の原因

特に暑さを感じているわけでもなく、激しい運動をしたわけでもないのに季節を問わず多量に発汗する症状を「多汗症」と呼びます。これは、発汗のメカニズムに異常が生じているためだと考えられています。多汗症の場合は、見た目で分かる程の大量の汗をかきます。手の平に大量の汗や水滴が出来る症状から汗が滴り落ちる症状などのレベルがあります。

ホルモンバランスの影響

多汗症の原因はいくつかありますが、代表的なものの一つにホルモンバランスの乱れが挙げられます。人間は不安や緊張、ストレスを感じると交感神経が活発に働き始めて汗腺を刺激し多量の汗をかくようになります。この交感神経を司っている脳の視床下部では、同時にホルモンバランスをコントロールしているため、ホルモンバランスの乱れが交感神経に直接働きかけ発汗の促進に繋がります。
多汗症に結びつくようなホルモンバランスの乱れを起こさないためには、激しい運動や過剰な食事制限によるダイエットは控え、質の高い睡眠を取るなど、継続的な生活スタイルの改善を意識すると良いでしょう。

交感神経と副交感神経

精神的なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、多汗症になる可能性が高まります。
ストレスの影響を受けやすい自律神経は、相反する働きをする交感神経と副交感神経から成り立っており、両者がバランス良く保たれることで心身の健康が維持されます。精神的に不安定な状態に陥ると交感神経が活性化され、人は多量に汗をかきます。この事実から、多量に発汗する原因として交感神経の活性化にばかりとらわれがちですが、実際は副交感神経の弱くなった働きを活発にすることも効果的な解決策の一つです。ストレスを溜め込み、睡眠不足にならないように意識すれば、交感神経と副交感神経がどちらかに偏ることなくバランスを保てるようになり、不快な症状をやわらげます。

多汗症の種類

多汗症には、全身に多量の汗をかく「全身性多汗症」と、特定の部分に局所的に汗をかく「局所性多汗症」の二種類があります。
全身性多汗症は、主に内分泌疾患や神経系疾患により生じると言われており、例として更年期障害や婦人病、リウマチなどがあります。一方でいわゆる「多汗症」といわれる症状のほとんどが局所性多汗症で、頭皮やワキの下、手の平や足の裏など、身体の一部分に多量の汗をかきます。主な原因は、自律神経の乱れや緊張により汗をかくなど精神的ストレスではないかと言われています。また、脇の下の多汗症は、汗が滲む程度から一定時間汗が出続けてシャツに汗ジミがくっきりつく上に、臭いを伴う場合があります。

腋窩多汗症(えきかたかんしょう)

腋窩多汗症は、多汗症の中でも最も多い症状の一つで、ワキの下に多くの汗をかきます。
ワキの下は、体温調整のための発汗作用もありますが、服がビッショリと染みるほどに大量の発汗症状は日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
またワキの下には、アポクリン腺から出るニオイの元となる汗もありますが、腋窩多汗症は、この臭いを症状とするワキガとは異なります。

手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)

手掌多汗症は、手の平に大量の汗をかく症状で、多汗症の中で比較的多く見られる症状です。「汗を気にしてしまい、人と手を握る事ができない」「書類やノートが汗で濡れて、思うように字が書けない」「スマートフォンや携帯電話が汗で濡れて操作に困る」など日常生活に大きな支障をきたすほど手に汗をかいてしまうことがあります。
人は緊張すると手や額に汗をかくことがありますが、手掌多汗症の場合は、緊張状態になくても常に大量の汗をかいてしまう状態を言います。

足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)

足蹠多汗症は、足の裏に多くの汗をかく症状を言います。足裏にかく大量の汗で靴下がぬれたり、汗で滑ってサンダルが履けない、病院などでスリッパを履けない、廊下に点々と汗の足跡ができたりするなど、大変深刻な悩みをもつ方も多くいらっしゃいます。

多汗症の自己診断

人間は誰しも運動後や季節によっては多量の汗をかきます。また、人より少し多めに汗をかく体質の方もいるでしょう。しかし、単なる汗っかきと多汗症には違いがあります。上がり過ぎた体温を下げようと大量の汗をかいて調節している状態は汗っかきと言えます。一方で体温に変化が無く、体温調節の必要が無いにもかかわらず、異常に汗をかいてしまう状態のことを多汗症と呼びます。両手の平や両脇の下など左右対称に多量の汗をかく、あるいは就寝時にはあまり汗をかくことがないなどの症状は、多汗症の可能性があります。

セルフチェック

  • 緊張すると手やワキの下に大量の汗をかく
  • パソコンのキーボード携帯を触ると汗で濡れる
  • 電車のつり革が汗で濡れることがある
  • 常に手が汗ばんでいる
  • 車のハンドルが汗で濡れることがある
  • 洋服に汗ジミができる
  • 下着が濡れるほど大量の汗をかく
  • サンダルなど履くと汗で滑ることがある

治療方法

診療内容

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